骨髄移植(造血幹細胞移植)後100日を過ぎたのでデータを見ながら振り返る

移植について

移植患者の手帳貰いました。 五月中頃から造血幹細胞移植の為入院
70日弱入院して退院、その後通院しながらという感じで、
ようやく移植後100日経過し、少し体調も安定してきたので更新。

毎日の状況を克明に・・・みたいな事しても語彙力からほぼ「つらい」で大体終わるので
自分が移植を経験する前に見てみたかったデータを開示してみる事にした
当然こういうデータ欲しいよねって思ってもどこにも転がってないし、
病院、研究機関いずれも個人情報保護の観点から開示は無理だと思うし、
もし移植を控えて同じ事考えてる人がいて
万が一目についたら役に立つんじゃないかなとか思った。
ただこのサンプル数1のデータが意味する所は
個人差がありますという事は当然念頭に置く必要があると思う。

あと単純にデータ可視化して振り返ると客観的になれていいんじゃないかなって思った。
移植体験記みたいなのは感情的部分と精神論みたいなのが多すぎて
リアルタイムで書かれているものは特に冷静さを欠くなと思っていて、
個人的には正直参考になり辛いと思ったのも動機のかなりの部分を占める。

移植を控える人だったり病気の人は不安でどうしても似た境遇の人を検索してしまい、
一日一日を感情的につづっている状況を見せられるとマイナスなのではという事と
移植から避けられない人が正しく恐れる事が必要なんではと思ったりもします。

じゃあ医者に聞くか!と思ってもセカンドオピニオンで色んな病院に、とかやると
お金も時間も体力も掛るので余程状況が揃わないとセカンド、サード・・・
みたいなのは普通の人には確実に無理でしょう。移植まったなしの状況なら特に
(セカンドオピニオンに複数個所行くというのは想像よりずっとお金かかります。)

別に制度の批判的意味合いはないですがセカンドにかかるときFAXで送れは笑いました。
ちなみにこれは日本でこの分野で一番有名な病院の事です。

経緯

そもそも病気に関する経緯は過去記事にある通り lobsak.hatenablog.com

長いので要約すると、

・皮膚に腫瘍ができてサクッと切ってもらうつもりで病院行ったらがんでは?となった。
・精密に調べてもわからんから切ったら悪性度がバカほど高い悪性リンパ腫見つかった。
・早急に抗がん剤治療と移植までやる(※再発性の高いリンパ芽球性リンパ腫の為)

病気の発見の仕方が特殊で同じ病気の似たような症例はおそらくほとんどないと思う。
(色んな医者にそういわれたのでおそらくその通りなんじゃないかと)
今までの医学ではこの病気を鑑別できなかったのが
最近になってできるようになっただけでは? という感じも。
実際に論文検索しても皮膚原発性の・・・というのは本当にないに等しいぐらい少ない。

それで抗がん剤治療はHyperCVAD/MA療法を七回で丸一年ぐらいかけた。

移植の方法

移植前処置はVP/CY/TBIとかで検索してもらえば出てくる、
割と普通の形の前処置(のはず)
以下参考リンク

https://www.jshct.com/modules/patient/index.php?content_id=16
フル移植の①が自分の場合に相当するはず

放射線全身照射(TBI)を三日で六回、一日午前午後で二回やる。
その後三日間かけて抗がん剤投与する。 みたいな感じ
day0を移植日にしてよくこんな形で説明される気がする。

day TBI 抗がん剤 移植
-7 - -
-6 - -
-5 - -
-4 - -
-3 - -
-2 - -
-1 - - -
0 - -
1 - - -
2 - - -

自分の場合はドナーに関しては
所謂フルマッチ(白血球の型を完全に一致させた)の臍帯血移植で行った。

結構勘違いしている人が周りでもかなり多かったのであえて書くけども、
骨髄移植=手術するみたいなイメージで思われるけど、
手術はなく普通に点滴で骨髄液を入れるだけで終わるので、
移植自体は非常にあっけないです。

ヒトヒト移植の場合は全身麻酔で骨髄液抜いてとかでドナー側は大変かもしれませんが、
それは自分の場合は当たらず別のお話という事で。

血液検査の詳細を見ながら振り返る

ようやく(?)本題に
五月に移植の為に入院してから
100日過ぎるまでの血液検査のデータを全部紙でもらった
これをデータにしてテキトーに見える化(嫌いな言葉)した。
検査項目が日によりバラついてたりとか検査間隔がバラついたりとか色々あるので、
細かく適宜修正したりグラフにした時データが見辛い所は省いたりした。
尿検査のデータも一緒に出てきてるけど、ほぼ全部正常だったのでなしにした。
血液検査の項目については以下のリンクが詳しいので参考に。

製剤 - 山梨厚生病院

以下のデータを見ながらの振り返りは自分は医学に詳しい人でないので、
医師に聞いたり看護師に聞いたり、
それなりに信頼できそうなソースを参照しながら書いてます。

グラフにしたのは主要(と思われる)な項目だけにした。
Excelなんて高級なツール持ってないのでJupyter Notebookでやった。

白血球数

※青点線は基準値(年齢とか性別で違うので図は30台男性の基準値で作図)

day-11辺りで元々白血球数少ないのは
直前にHyper CVAD療法をやってすぐ再入院したからだと思う。

白血球は移植後3日目で血液からは検出不可能になっていそう。
無菌室にはday-4から入っているけど、放射線でその頃からぐったりしてたと思う。
白血球が一旦完全ゼロになっている為、
本来自分の持っていた骨髄機能の破壊から他人の造血幹細胞の生着
という事はできたんじゃないかなと思われる感じの推移をしている。

一応医学的な生着日はday20と言われたのでデータ見ても確かにそんな感じ
臍帯血移植なのでやっぱり少し時間がかかっているかと思う。
無菌室にはday-4からday21までの期間居たと思う。

骨髄検査もday38当たりで実施済みで、
白血球はドナー由来のものが99.9%と言われたので、
余程の事がない限り再移植とかにはならない・・・はず。

血小板数

放射線抗がん剤で一度落ちたらなかなか戻ってこない厄介な奴
入院中に何度も輸血が必要で、退院直前まで輸血したので推移通りずっと低いまま
最近になってようやく戻ってきた感じになったと言えそう。

赤血球数/ヘマトクリット/MCH/MCHC/MCV

赤血球の数は基準値から見ると未だに低い事が見える。
単純にまだ少し貧血気味かもしれない

移植後8日目にすごい落ち方をしているのがわかる。
この前後で赤血球の輸血を三度ほどしたのはおそらくこの為かな?
貧血症状をこれまでの人生で自覚したことはなかったけど、
この移植後一週間(day7)~あたりはあまりに具合が悪くて、
ほぼ丸一日横になってたと思う。
おそらく原因の一つがコレなんじゃないかなーというのが見えそう。

また移植後しばらくMCHCが高いのは脱水ぎみのサインかも
この辺りは放射線か移植のGVHDかで食道の炎症がひどく、
食べ物は当然食べてないが、飲み物まで全部吐いてた記憶がある。
あまりにひどくて食道に傷入って毎日血吐いてたと思う。

退院してから(day55~)も飲み物飲めない事が多かったので、
やっぱりこの数値が高めに出ている。
最近はコーヒーとかの胃の負担の大きい飲料を避ければ問題なく、
MCHCが100日目辺りで落ち着いているのを見ると納得できる推移。

ビリルビン/AST/ALP/AST/γGTP

肝機能障害か胆管障害が放射線の影響で出たような推移。
ビリルビンの値が高い推移の時も割とすぐ収まっている感じに。
肝臓を相当悪くした人ほどの推移じゃないと思う。(はず)
元々この辺りが悪いからだではなかったので、大きな影響は出なかった。
黄疸が出たりとかそういうのはほとんどないか気にならないレベル。
ただ放射線一日目終わった後に検査(day-5)にしてこれだけ高いのに、
体感的にはほぼいつも通りに過ごせてた日だったので、
肝臓が多少不調であっても全くわからんのだなと実体験で体感できたと思う。
元々そういう性質の臓器だから相当悪化させて気づくみたいな事になるんでしょう。

AST/ALPが高い辺り(day30)はその後すぐ収まってる辺りからし
服薬していた薬の影響もあると思う。
この辺はさすがに薬が多すぎて全部は覚えてないけど、最近も少し高い値を示してるので
今も飲んでいるアシクロビルとかその辺の影響な気がする。

蛋白・アルブミン

day-4からそもそも食事が一切取れなかった事もあって、
当然ながら蛋白は低推移
day40辺りから少しずつ食事をとってたのでその後ようやく戻り傾向
退院してから最近になってようやく正常値近くまで戻った感じ。
原因は脱水プラス栄養不良って所だと思う。

尿素窒素/クレアチニン/尿酸

腎臓系の数値
低い時期は完全に蛋白不足で間違いなさそう。
退院後高い推移になっているのは水分が取れずにいたからだと思う。
退院後しばらくしてフェブリクも服薬し始めたので
最近になって落ち着いている事からもおそらくそういう事だろうと思われる。

ナトリウム/カリウム/クロール/カルシウム

電解質
ここは大きく変わらず。
入院中は基本的に点滴で調整しているから、
余程な事がない限り極端な結果にはならないんだと思う。

マグネシウム

食事が長い間とれなかったため、点滴で入れたりとかされた。
食事が少し取れるようになってからも
マグネシウム豊富な食材を取れとかなり言われた。
こう可視化してみると結構ひどい状態。

病院食で色々出てきたけど、
食道と胃の違和感が凄く結構吐いてたせいで退院直前までずっと低値
退院してから大豆とか豆腐とか意識的に摂取して戻ってきた感じ。

C反応性蛋白

移植で白血球とこの数値が一番重要な指標かもしれない。
移植後一週間後に数値が高すぎてグラフが変な事になってる。
体のどこかしらで炎症が起きている証拠なんだけど、
自分の場合は完全に自覚できた症状は胃と食道
横になると胃から上がってきて吐く。
食道の炎症がひどく食べ物も飲み物もダメで、自分の唾も呑み込めなかった。
このC反応性蛋白が出ている間と体感で飲み物も飲めない時期と重なるので、
かなり正確に移植のツラい時期の推移を表していると感じる。
逆にこの数値が落ち着くと無菌室から出られ、少し楽になるという感じ。
移植直後から反応があるため、
day1から医療麻薬(モルヒネ)を使うのはこのためだと思う。
逆にそれのおかげで自覚できた症状は胃と食道だけだったのかなとも思う。
ただモルヒネ投薬中の期間はかなりツラいというか
寝てても起きててもよくわからない状態になる、
というのがあの時の状況を上手く言語化できていると思う。

ただモルヒネがあったとしても
抗がん剤(たぶんエンドキサン)特有の投薬後の
凄まじい頭痛は変わらず襲ってくるしかなり長引いた。

今と今後

今は少し小康状態のような感じで、薬を減薬している所。
食べ物、飲み物はまだ選ばないと胃が不調になり、苦しむ感じ。

これからは通院しつつ減薬、あとは子供の時受けたようなワクチン接種
それが全部終わるのはあと二年から三年程度?
一応再発と言われないまでを考えると五年後以降という事になるのかな

いずれにせよ少し気が長いが、
今の段階では世の中の情勢が味方してくれて自分のような免疫力の弱い人が
普通の人がかからないような病気、感染症
ある程度みんなで対策してくれていると感じていて、
働くという点についても復帰してもフルリモートでOKと言われたり、
タイミングが非常に恵まれているなと感じてる。

まだ安心できる段階ではないので、用心しながら生活することにしてます。

七度目の退院

しました。

STAY HOSPITAL期間が終わり、STAY HOME期間
点滴を入れる時に失敗されなかっただけでもQoLが高かった。

次はいよいよ造血幹細胞移植の為の入院
もう告知されてから一年たったなと感慨深さは特になく、
正直音速で終わった感覚。

移植に関しては事前にリスクをいくら並べられても本当に出た所勝負なので、
まずは生きて家に帰りたいと思う。
店やってないけど今は旨いものが食いたい。

七度目の入院

しました。
抗がん剤治療七回目
Hyper/CVAD療法の四回目のための入院
その後骨髄移植予定。
一年もかかってまだ終わらないというか、これからが本番
世間で流行ってるウィルスのおかげでもう少し混乱してると思いきや
病院内はいたって通常通り。 きっと通常通りにするために裏で頑張っているのでしょう。
ちなみに既に帰りたい。

近況

年末

通院して移植するしないは置いておいて、
検査しましょうと言う感じになって何度か通院
入院中なんとなく飲んでいた薬の薬価がバカ高くて
ひと月分出してもらったら四万ぐらい掛かって破産申請した。

年明けにPET-CTとか造影剤CTとか骨髄検査とか盛沢山。

年明け

PET-CTはすごい時間かかるので、
その検査だけの日を一日作って早めに検査した。
時間がかかるので直前のトイレ行っておかないと地獄

骨髄検査は今回やけに針が入らなくて麻酔何度も入れなおした。
かなり痛い

骨髄バンクについて

実は骨髄バンクに登録してドナーを先んじて探していた
それでフルマッチの移植であればやる方向にしようかと思っていて、
色々事前に説明を受けて、
個人情報保護とかSNSに書き込むなとか色々あるんだなと思った。
よくある骨髄移植の体験したブログの類が
大体後日談形式になっているのはその為なのかと思った。
※今日やりましたとか迂闊に書いてしまうとドナー側が特定できてしまう

それで骨髄バンクから移植できる人は
検査して全員NGになったのでとりあえず無理になった。

今後

まだ未定だけど、骨髄移植するなら臍帯血移植かハプロ移植
しないなら維持療法
って感じになりそう。

Highdose MTX/Arac 三回目 20-21日目 (最終日)

20日

血液検査の結果問題なしって事で翌日退院が突然決まった。
相変わらず頭痛はするけど、問題ないらしい。

21日目

終了
とりあえず6クールの治療が終わった。
今後の事はまだ未定だけど、高確率で骨髄移植になるかも

Highdose MTX/Arac 三回目 15~19日目

15日目~17日目

頭痛~腹痛~寝るのループにはまった。
たまに頭痛~腹痛~ポケモン~寝るに行動パターンが変わるだけ
時間感覚も曜日感覚も薄くなった。

18日目

白血球が大分回復したので点滴が一個になった。
前回より大分早めな気がした。
頭痛はやっぱり続いたのでほぼ寝てた。

19日目

頭痛の頻度は減ってきた気がする。
もう帰ってもいいかなって気分にはなってきた。

Highdose MTX/Arac 三回目 12~14日目

12日目

朝から頭痛がし始める。
経験則から頭痛は白血球と血小板と赤血球が全部下がったサイン
痛み止め飲んで何とかした。

13日目

かなりひどい頭痛で目が覚めた。
痛み止め飲んでも効かなくて39度ぐらいの熱が出た。
別にインフルとかではなかった様子。
一日中寝込んでた。
この治療やるたびに熱出してる気がする。

血小板と赤血球の輸血両方ともやったけど、
熱で苦しんでたので、何が何だかよくわからなかった。

14日目

頭痛がかなり引いてきて、多少体調がマシだった。
早めに隔離されたので、本当に長く感じる。
帰りてぇ